言葉を話さないお子さんのためのコミュニケーション目標の立て方
言葉を話さないお子さんの子育ては簡単ではありません。子どものコミュニケーション発達の段階を知るだけでも大変です。さらに、非言語コミュニケーションの理解や言語療法…
言葉を話さないお子さんの子育ては簡単ではありません。子どものコミュニケーション発達の段階を知るだけでも大変です。さらに、非言語コミュニケーションの理解、言語療法の目標、そして言葉を話さないお子さんと効果的にコミュニケーションをとるとはどういうことなのかを学ぶ必要もあります。
まずは第一歩として、現実的な目標の立て方を学ぶことから始めましょう。最初に「言葉を話さない(ノンバーバル)」とはどういう意味かを見ていきます。
この記事の内容
たとえば、お子さんが言葉を話さない理由は言語障害や言葉の遅れかもしれませんし、身体的な発話障害によってまったく話せない場合もあります。
子どもが言葉を話さない最も一般的な原因は、社会的なやりとりを理解し、その中で反応することが難しいことです。これは自閉症のお子さんや、ダウン症などその他の発達障害のあるお子さんに多く見られます。
コミュニケーションとは?
言葉を話さないお子さんが言葉を発せるよう手助けする前に、なぜ言葉を話してほしいのか、そしてそのためにどんなスキルが必要なのかを理解しておく必要があります。
子どもも大人も、コミュニケーションをとるために言葉を使います。コミュニケーションは、ある人が別の人にメッセージを送ることで成り立ちます。メッセージはさまざまな方法で、さまざまな理由から送ることができます。
コミュニケーションの中核となる要素は次のとおりです。
コミュニケーションはプロセスです。効果的なコミュニケーションはやりとりとつながりを通じて築かれ、それが双方向コミュニケーションの土台となります。言葉を話さない子どもは、多くの場合、他者とのやりとりにある程度の難しさを抱えているため、言葉を発することが困難です。そのため、コミュニケーション能力を育てることがさらに難しくなります。
やりとりをうまく行うために、お子さんには次のことが必要です。
コミュニケーションについて、そしてそれがどれほど複雑なものかをもっと知りたい方は、こちらの動画をご覧ください。
お子さんの好きなこと・嫌いなこと

言葉を話さないお子さんとコミュニケーションに取り組むうえで最も大切なのは、お子さんの好きなことと嫌いなことに注目することです。好きなことに焦点を当てれば、何がお子さんのコミュニケーション意欲を引き出すのかがわかり、コミュニケーションを促すことができます。お子さんの好き嫌いを取り入れた、構造化された活動を行いましょう!
言葉を話さないお子さんはどのように、なぜコミュニケーションをとるのでしょうか?
お子さんが話さないからといって、コミュニケーションをとっていないわけではありません。子どもは行動、声、ボディランゲージ、言葉を通じてコミュニケーションをとります。お子さんがどのようにコミュニケーションをとっているかがわかれば、その強みを伸ばし、同じ手段を通じて別のコミュニケーション方法も教えていくことができます。
お子さんは次のような方法で、言葉以外のコミュニケーションをとっているかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=SKhsavlvuao
お子さんがどのようにコミュニケーションをとっているかを見るだけでは不十分で、なぜコミュニケーションをとるのかにも目を向ける必要があります。コミュニケーションの目的がわかれば、お子さんがより多くの方法と理由を見つけてコミュニケーションをとれるよう手助けできます。
お子さんのコミュニケーションの段階
著書『More Than Words:自閉スペクトラム症の子どものコミュニケーションと社会性を育むための親のガイド』の中で、著者のファーン・サスマンは、言葉を話さない子どもは4つの段階からなる連続的な発達の流れの中にいると説明しています。
お子さんのコミュニケーションの段階を見極めることで、お子さんにできること・できないこと、そして次に期待できることがわかります。これがコミュニケーション目標を立てる助けになります。
ファーン・サスマンによる、ことばと言語の発達の4つの段階は次のとおりです。
1)マイペース段階
この段階の子どもは一人で遊びたがり、周りの人や活動に興味がないように見えます。相手に直接メッセージを送ることで人に影響を与えられるということを理解していないため、意図的なコミュニケーションは見られません。この段階のお子さんには、次のような様子が見られます。
2)要求段階
この段階の子どもは、自分の行動が相手に影響を与えられることに気づき始めています。欲しいものや必要なものがあると、あなたを引っ張ったり連れて行ったりして求め、体を使った「ふれあい遊び」を楽しみます。この段階のお子さんには、次のような様子が見られます。
3)初期コミュニケーション段階
この段階の子どもは、とても意欲が高まる場面で、特定の身ぶり、声、絵、言葉を一貫して使って物事を求めます。人とのやりとりが長く続くようになり、コミュニケーションもより意図的になりますが、主に何かをしてほしいと頼むためにコミュニケーションをとります。この段階のお子さんには、次のような様子が見られます。
4)パートナー段階
この段階の子どもは、一定の言語スキルを身につけ、より効果的にコミュニケーションをとれるようになっています。話したり、簡単な会話を続けたりできるはずです。ただし、自分の言葉が出てこず、覚えた言葉やフレーズに頼ることもあります。
これは通常、慣れない場面で、言われていることが理解できず、会話のルールをつかむのに苦労しているときに起こります。この段階のお子さんには、次のような様子が見られます。
コミュニケーション目標を立てる
コミュニケーションの段階について読み、お子さんのレベルがわかったら、お子さんのコミュニケーションに適度な挑戦を与え、積極的に促すための目標を立てましょう。
その際は、著書『More Than Words』で紹介されているファーン・サスマンのコミュニケーションの連続体と、この記事を参考にしてください。
お子さんのコミュニケーションを助けるカギは、現実的な期待を持つことです。最終的に、お子さんには次の主な目標を達成してほしいと考えます。
これらの目標を達成する最善の方法は、お子さんの好き嫌いとコミュニケーションの段階を活用することです。
お子さんの段階がわかったら、続きをお読みください。
1)マイペース段階の目標
マイペース段階にある言葉を話さないお子さんとの関わり方について、さらに詳しい情報やアドバイス、テクニックはこちらの動画をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=KGf_Xb7jDjU
2)要求段階の目標
要求段階のお子さんとの関わり方は、こちらの動画で紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=4F3xCBcsLFg
3)初期コミュニケーション段階の目標
4)パートナー段階の目標
初期コミュニケーション段階またはパートナー段階のお子さんとの関わり方:
https://www.youtube.com/watch?v=6aeChJa5kqQ
言葉を話さないお子さんのコミュニケーションを促す
言葉を話さないお子さんにコミュニケーションをとってもらう最善の方法は、コミュニケーションをとる理由を与えることです。必要なものをすべて揃え、手の届くところに置いてあげたくなるものです。しかし、欲しいものが簡単に手に入るなら、お子さんにはあなたとコミュニケーションをとる理由がありません。だからこそ、コミュニケーションを促す場面をつくる必要があるのです。
ここでは、あらゆる年齢のお子さんがさまざまな理由でコミュニケーションをとれるよう促すアイデアをご紹介します。これらのコミュニケーションがすべて言葉である必要はないことを覚えておきましょう。お子さんが声、身ぶり、表情、あるいは絵を使って伝えようとしたなら、それも立派なコミュニケーションの試みです。
お子さんが要求できるよう手助けする
https://www.youtube.com/watch?v=d27kRgIvvTs
これらのテクニックを紹介した動画はこちらです
お気に入りのものを手の届かない場所に置く
お子さんの好きな食べ物やおもちゃを、見えるけれど届かない高い棚やカウンターの上に置くと、取ってもらうためにあなたに助けを求めやすくなります。開けにくい透明なプラスチック容器に入れるのもよいでしょう。欲しいものは見えていても、手に入れるにはあなたに助けを求めなければなりません
大人の手助けが必要なおもちゃを使う
こうしたおもちゃは操作が難しく、動かすにはあなたの助けが必要なので、やりとりが生まれます。お子さんにおもちゃをじっくり見る時間を与え、イライラし始めたときや助けを求めてきたときに手を貸しましょう。
ぜんまい式や押すと動くおもちゃ
ぜんまいを巻いたり押したりして跳ねさせたおもちゃは、やがて止まります。それをお子さんに渡し、もう一度動かしてほしいと求めてくるのを待ちましょう
シャボン玉
シャボン玉をいくつか吹いたら、少し手を止めます。お子さんがもう一度吹いてと求めてくるのを待ちましょう
風船
風船を膨らませて空気を抜き、また口に当てて、お子さんがもう一度膨らませてと求めてくるのを待ちましょう
オルゴール
オルゴールを巻いて音楽を流し、音楽が止まったら、お子さんがもう一度と求めてくるのを待ちましょう
びっくり箱
びっくり箱のハンドルを回して人形を飛び出させます。お子さんがもう一度と求めてくるのを待ちましょう
鏡
鏡は「いないいないばあ」やまねっこ遊びにぴったりです。鏡の前でどんな遊びをしても、どんな歌を歌ってもかまいません。お子さんがもう一度と求めてくるのを待ち、一緒にまねっこ遊びをするよう促しましょう
少しずつ渡す
欲しいものを一度に全部渡してしまうと、お子さんは何も求める必要がなくなります。少しずつ渡すことで、言葉を話さないお子さんが自分の欲求を伝える機会を増やせます。レゴなどのおもちゃや、レーズンやポテトチップスなどのおやつは、少しずつ渡しやすいものです。
ひとつだけ渡さない
活動に必要なものを、ひとつを除いてすべてお子さんに渡します。残りのひとつは手の届かない、でも見える場所に持ち、お子さんが求めてくるのを待ちましょう。
お子さんが断ったり「いや」と伝えたりできるよう手助けする

あまり好きではないものを差し出す
お子さんが好きではないとわかっている食べ物や飲み物、おもちゃを差し出し、「いや」と言う機会をつくりましょう
活動の終わりをお子さんに決めさせる
お子さんが活動に飽きるまで待ち、どんな方法でもかまわないので、もう十分だと伝えてもらいましょう
お子さんがあいさつや「バイバイ」を覚えられるよう手助けする
https://www.youtube.com/watch?v=WhsPDjaz_sQ
パペット
パペットやぬいぐるみ、レゴを使う
パペットやレゴのミニフィグを背中の後ろから出したり隠したりしながら、あいさつや「バイバイ」を何度も繰り返して見せましょう。まずは一緒に言うよう促し、やがて一人で言えるようにしていきます
窓を活用する
お客さんが来る予定のときは窓のそばに立ち、玄関に向かって歩いてくるお客さんに手を振って「こんにちは」と言いましょう。お子さんにも同じようにするよう促し、やがて一人でできるようにしていきます。お客さんが帰るときにも同じようにできます
お子さんがやりとりしたり、何かを伝えたりするよう促す
https://www.youtube.com/watch?v=mEqaNDwaKfk
決まった流れをつくり、そこにサプライズを加える
毎日の決まった流れにサプライズを加えると、お子さんが反応し、それについて伝えたいと思うきっかけになります
あえて黙る
絵本をめくりながら絵を指さして名前を言い、次のページでは絵を指さすだけで何も言わず、お子さんに名前を言ってもらいましょう。買い物袋から食料品を出すのをお子さんに手伝ってもらい、袋から取り出すたびに名前を言いながら興味津々な様子を見せます。お子さんの好きな食べ物が出てきたら、お子さんが喜んで名前を言うのを待ちましょう
違うものを渡す
パズルなどピースがたくさんあるおもちゃで遊び、ピースをひとつずつお子さんに渡します。そして突然まったく違うもの(ビー玉など)を渡し、お子さんの反応を待ちましょう
「うっかり」間違える
子どもは、親が間違えたりおかしなことをしたりするのが大好きです。着替えのときに靴を左右逆に履かせたり、ズボンを頭からかぶせようとしたりしてみましょう。お子さんの反応を待って、一緒に笑いましょう
順調なときに、あえて何かをうまくいかなくする
たとえば夕食や朝食のときに、フォークを「うっかり」床に落とし、お子さんが反応したり教えてくれたりするのを待つのもよい方法です
ものの場所がわからないふりをする
ものの場所がわからないふりをすれば、お子さんと一緒に探すことができます。困っている様子を大げさに見せ、お子さんの反応を待ちましょう
「調子が悪い」ふりをする
あなたが何かをするのに苦労しているように見える場面をつくりましょう。たとえば玄関のチャイムが聞こえないふりをすれば、お子さんがあなたの注意を引き、何が起きているかを伝える機会になります
お子さんが選べるよう手助けする
https://www.youtube.com/watch?v=a4PFWFeTwRM
選択
簡単な選択から始める
お子さんにとって最も簡単なのは、目に見える2つのものから選ぶことです。ひとつは大好きなもの、もうひとつは嫌いなものにしましょう。お子さんの前に両方を見せ、最初のうちは好きなものを後に提示します。
選ぶことを覚え始めたばかりの子どもは、最後に提示されたものを選ぶことが多いためです。選ぶことに慣れてきたら、好きなものを先に提示してもかまいません。
視覚的な手がかりを与える
最初のうち、お子さんが選ぶには視覚的な手がかりが必要です。実物を手に持ったり、実物を指さしたり、実物の写真を指さしたりしましょう。簡単な選択のときと同じように提示し、少しずつ難易度を上げていきます
「はい/いいえ」の選択
簡単な選択を手助けしたときと同じ方法ですが、今度は言葉で表現するよう促します。お子さんが欲しくないものを見せ、「いや」と言うよう促しましょう。答えられなければ、どうすればよいかを見本として示し、もう一度やってみます。欲しいものについても同じように行いましょう
Speech Blubsは言葉を話さないお子さんのために作られました
私たちのアプリには、お子さんが選べる語彙アクティビティがたくさんあります。やりたいことを自分で選び、それぞれの「ゲーム」のさまざまな場面に取り組むことで、意図的なコミュニケーションが促されます。こうしてお子さんは身近な言葉をいくつも学んで理解し、新しい場面で自分からコミュニケーションを始めるためにそれらを使えるようになります。
アプリに登場する子どもたちが話すタイミングを教えてくれますし、「ゲーム」がとても楽しいので、あっという間にお子さんが遊びたいとせがんだり、あなたに応えたりするようになるでしょう!
このアプリでは、言葉を話さないお子さんもまずはアプリの子どもたちを見ながら学ぶことができます。準備ができたら、子どもたちのまねを始めればよいのです。
お子さんが言葉を話さない理由がわからない場合や、コミュニケーションに困難を抱えている場合は、アプリをダウンロードして無料のスクリーニングをご利用いただけます。スクリーニングではお子さんの得意なことと苦手なことがわかり、結果とともにパーソナライズされたレポートと実践的なアドバイスもお届けします。アプリは App StoreまたはGoogle Playからダウンロードできます。
Speech Blubsはあなたの味方です。お子さんが持てる力を最大限に発揮する姿を見ることが、私たちにとって最大の喜びです。
著者: Natalie Barnes