ADHDと言葉の発達
この記事の内容:ADHDとは? ADHDの症状 1. 不注意 2. 多動性 3. 衝動性 ADHDが言葉の発達に与える影響 ADHDのお子さんをサポートする方法 コミュニケーションのコツ...
この記事の内容
- ADHDとは?
- ADHDの症状
- 1. 不注意
- 2. 多動性
- 3. 衝動性
- ADHDが言葉の発達に与える影響
- ADHDのお子さんをサポートする方法
- コミュニケーションのコツ
- ADHDのお子さんを持つ親御さんのためのヒント
焦らなくても大丈夫です! ADHDは珍しいものではなく、Speech Blubsやこの記事をはじめ、サポートしてくれるリソースはたくさんあります。
ADHDとは?
ADHD(注意欠如・多動症)は、覚醒レベルの調節に関わる一般的な状態です。脳内の注意力や実行機能を司る領域の働きが乱れることで、不注意、多動性、衝動性といった症状が現れます。
世界中で学齢期の子どもの約10%にADHDがあり、女児に比べて男児の割合が2倍高くなっています。ADHDには遺伝的な要因もあり、決して親の育て方が悪いわけではありません。 これは医学的・神経生物学的な状態であり、以下のような他の障害や特性を併せ持つことも少なくありません。
- 反抗挑戦性障害(ODD):拒絶的、反抗的、敵対的、または不服従な態度を繰り返す。
- 素行障害(CD)/攻撃性:他人の基本的人権や年齢相応の社会規範を繰り返し侵害する、暴力、嘘、盗み、不登校など。
- 学習障害(LD):感覚運動の協調運動の困難、文字をきれいに書けない(書字の困難)、短期記憶の弱さ。
- うつ状態・うつ病:イライラ、睡眠障害、持続的な気分の落ち込み、以前は楽しめていたことに興味が持てなくなる。
- トゥレット症候群:複数のチック症状が頻繁に現れる。
- 不安:自己肯定感の低さ、絶え間ない心配、恐怖症。
- 発達性協調運動症:不器用さ、運動が苦手、運動面の発達の目安(マイルストーン)の著しい遅れ。
- 言葉や言語の障害: 言語発達の目安の著しい遅れ、表現言語が不自然に幼く単純、発音の誤り、読字(読書能力)の遅れ。
ADHDの症状

ADHDの症状はお子さんの成長に伴って変化しますが、大きく分けて3つの主要な特徴があります。
1. 不注意
- 不注意によるミスが多い
- 細かいところに注意を払えない
- 課題や遊びの活動に集中し続けるのが難しい
- 直接話しかけられても聞いていないように見える
- 指示に従うのが苦手
- 学校の宿題やお手伝いを最後までやり遂げられない
- 課題や活動を段取りよく整理・計画するのが難しい
- 持続的な集中力が必要な作業を避けたり、嫌がったり、やりたがらなかったりする
- 課題や活動に必要な物をよく失くす
- 気が散りやすい
- 毎日の生活の中で忘れ物や忘れがちになることが多い
2. 多動性
- 手足をそわそわ動かしたり、座席でモジモジしたりする
- 授業中に席を離れてしまう
- 不適切な場面で走り回ったり高いところに登ったりする
- 静かに遊ぶことが難しい
- いつも忙しなく動いている、または「モーターで動かされているかのように」行動する
- おしゃべりが止まらない
3. 衝動性
- 質問が終わる前に答えを言ってしまう
- 順番を待つのが難しい
- 人の邪魔をしたり割り込んだりする
ADHDが言葉の発達に与える影響

研究によると、ADHDのお子さんはコミュニケーションに困難を抱えるリスクが高いことが分かっており、会話がうまくかみ合わない状態が続くと、ご家族にとっても大きなストレスになることがあります。
常に気が散ったり、じっとしていられなかったり、衝動的になったりしてしまうと、周囲やご家族と本来あるべき形で関わることが難しくなるのも無理はありません。これが言葉の発達に悪影響を及ぼし、あらゆる言語領域での遅れやつまずきにつながることがあります。言語の各分野における影響を以下の表にまとめました。
発達領域
聞くこと
話すこと
読むこと
書くこと
音韻論(話し言葉の音)
人の話を聞くときに、言葉のさまざまな音を聞き分け、識別する
話すときに、正しい発音や音声パターンを適切に使う
文字を読んでいるときに、文字と音の結びつきを理解する
書くときに、文字と音の対応関係を正確に使って正しい綴りで書く
形態論(単語の構造)
人の話を聞くときに、単語がどのように構成され、組み合わさっているかを理解する
話すときに、単語を正しく組み立てて使う
文章を読むときに、文法や語順を理解する
文章を書くときに、文法や語順を
正しく使う
統語論(文の構造)
人の話を聞くときに、文がどのように組み立てられているかを理解する
話すときに、文を正しく組み立てて表現する
文章を読むときに、文の構造や成り立ちを理解する
文章を書くときに、文を正しく使い、
その組み立て方を理解して
書く
意味論(言葉の意味)
人の話を聞くときに、語彙や言葉の意味を理解する
話すときに、多彩な語彙を使って豊かな意味を表現する
文章を読むときに、語彙や言葉の意味を理解する
文章を書くときに、多彩な語彙と
意味を使い分ける
語用論(言葉の使い方・社会性)
会話のやり取りにおいて、話し言葉の社会的な側面やニュアンスを理解する
会話の中で筋道の通った関連性のある発言をし、言葉を社会的な場面に合わせて使う
登場人物の視点を理解し、それに応じて適切に受け答えする
自分の視点や伝えたいメッセージを
相手に効果的に伝える
先ほど触れたように、ADHDのお子さんは実行機能に難しさを抱えているため、日常生活で受け取る情報を整理・分類することが苦手です。これは会話中に自分の考えをまとめる際にも影響します。ADHDのお子さんによく見られるコミュニケーションの難しさには、次のようなものがあります。
- 一方的に話しすぎてしまい、相手に発言の機会を与えない
- 特に興味のある話題や興奮しているときに声が大きくなりすぎる
- 話しているうちに直前の内容を忘れてしまい、相手が何を言ったか、自分が何と答えようとしていたのか思い出せなくなる
- 言いたいことを忘れてしまうのではないかという不安や、待てない気持ちから人の話を遮ってしまう
- 途中で気が散ったり忘れたりして、話が脱線してしまう
- 注意がそれてボーッとしてしまい、人の話を聞いていない
- 周りに大勢の人がいてざわざわしていると、声を聞き取るのが難しくなる
- 情報の処理に負担がかかって疲れやすく、長い会話を続けるのが難しい
ADHDのお子さんをサポートする方法

お子さんにADHDの疑いがある場合、親御さんができる最も大切なことは、正しい診断を受けることです。 ADHDを簡単に診断できる単一の検査はなく、見極めには慎重なプロセスが必要です。診断には、社会生活や学校生活、学業において臨床的に明らかな支障が出ているという確かな証拠が求められます。
もしお子さんがADHDと診断されたなら、言葉や言語面でのつまずきがないか注意深く見守り、できるだけ早めに対処することが大切です。また、親御さん自身の接し方や話し方を工夫することで、お子さんがコミュニケーションしやすくなり、やり取りのハードルを下げてあげることができます。
お子さんとご家族の生活をサポートするために、充実した活動的な毎日を送れるよう医師からお薬が処方されることもあります。この薬物療法は、お子さんの心理的、行動的、学習的なニーズに応える総合的な治療計画の一部として処方されることが多く、必要なサポートをすべて受けられるようにチーム全体で連携していくことが一般的です。
コミュニケーションのコツ
- お子さんがこちらの話を聞き、しっかり注意を向けているタイミングを見極める
- 落ち着いて上手にコミュニケーションが取れたら、すぐに具体的に褒める
- 短く、わかりやすい指示を出す
- わかりやすくシンプルな会話のルールを決めておく
- お互いにとって心地よいコミュニケーションの方法を見つける
- 「AとBどっちにする?」と選択肢を与える
- 絵や写真などの視覚的な手がかりを活用する
- 穏やかな声で、落ち着いて話しかける
- 親が何を求めているのか、具体的に伝える
- やるべきことを忘れにくいように、短いリストを活用する
- お子さんの得意なことや強みを伸ばす
- 指示がしっかり伝わったか確認する
ADHDのお子さんを持つ親御さんのためのヒント
- スケジュールを決め、毎日のルーティンを作る
- シンプルで分かりやすい家庭内のルールを作る
- 良い行動ができたら褒めて認める
- 常に見守りを心がけ、特にお友達と遊んでいるときは目を離さない
- 宿題をする時間を決めて習慣化する
- 成績ではなく、頑張った過程や努力に目を向ける
- 学校の先生と定期的に情報共有をする
- 親御さん自身がポジティブで健康な状態を保つ
- 長い目で見守り、肩の力を抜く
- すべてを完璧にしようとせず、時には妥協する柔軟さを持つ
- お子さんの可能性を信じる
- お子さんの年齢や能力に合った、無理のないお手伝いをお願いする
- 無条件に愛し、いつでも応援していることを言葉や態度で伝える
- 親御さん自身も無理をせず、必要なら周囲にサポートを求める
これらのヒントに加えて、ぜひSpeech Blubsアプリをダウンロードして、コミュニケーションを中心とした楽しいアクティビティに取り組んでみてください。
著者: Natalie Barnes