バイリンガル家庭の子どもはお話しし始めるのが遅い?

この記事の内容:バイリンガルのお子さんの語彙を育てる|言語聴覚士としてのバイリンガル家庭での経験|バイリンガルの子どもたちに関する真実|D.G.くんの実話:バイリンガル児の…

バイリンガルの子どもたちと言語発達

この記事の内容

  • バイリンガルのお子さんの語彙を育てる
  • 言語聴覚士としてのバイリンガル家庭での経験
  • バイリンガルの子どもたちに関する真実
  • D.G.くんの実話:バイリンガル児のことばの発達支援
  • D.G.くんの実話の解説
  • 研究から見たバイリンガル家庭
  • バイリンガル家庭への大切なポイント

今日ではバイリンガル家庭は珍しくありません。多くの保護者の方から「うちの子は2つの言語を学んでいますが、学校でお友達に遅れをとったり、ことばの発達に問題が出たりしますか?」という同じようなご相談をいただきます。

「はい」か「いいえ」でシンプルにお答えできれば良いのですが、実はそう単純ではありません。私は2つの言語(アラビア語と英語、スペイン語と英語、ヘブライ語と英語など)を話す多くのご家庭をサポートしてきた臨床現場の専門家として、またこのテーマに関する研究結果をもとにお話しすることができます。残念ながら、いくつかの研究はあるものの、結果にばらつきがあり、長期的な明確な結論はそれほど多く出ていないのが現状です。

ただ、確かなことが1つあります。近年の研究では、2つの言語を学ぶことは子どもたちに多くの利点をもたらすという結論が出ています。これには、高い学業達成度、ことばの社会的な使い方の向上、高い認知的柔軟性(マルチタスク能力)などが含まれます。こうしたメリットは、日常的に2つの言語を使い分けることで知的能力がフルに活用されているためだと考えられます。

バイリンガルのお子さんの語彙を育てる

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言語聴覚士としてのバイリンガル家庭での経験

確かなことの1つとして、私はほとんどのご家庭に対して、子どもが触れる言語を1つだけに制限するようアドバイスすることは決してありません。例えば、家庭では母国語のみを話し、別の環境(スペイン語の家庭で、子どもは英語の学校に通うなど)で第2言語を話す場合、ご家庭が自然で正しい手本を見せられる使い慣れた言語から、一朝一夕には学べない言語へと無理に切り替えることを強いられてしまいます。これはお子さんにもご家庭にも混乱を招きます。もしそのようなアドバイスを受けているなら、聞き入れる必要はありませんし、別の専門家を探すことをおすすめします!子どもがいくつの言語を学んでいるかに関係なく、ことばの発達は正常に進むこともあれば、遅れが生じることもあるのです。

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バイリンガルの子どもたちに関する真実

バイリンガルの子どもが、ことばの発達障害になりやすいということもありません。実際にお子さんに本当の言語障害がある場合、両方の言語で同じような構音や発音の誤りが見られます。だからこそ、可能であれば検査や評価は両方の言語で行う必要があります。それが難しい場合は、語彙に関する質問が出た際に答えられるよう、保護者の方が同席するのが望ましいでしょう。両方の言語で療法を行えば、より早い進歩と第2言語へのスムーズな定着につながります。

私の経験上、バイリンガルのお子さんはペースこそ緩やかかもしれませんが、適切なサポートを受けることでしっかりと進歩し、正常な言語スキルを発達させていきます。もう1つ覚えておきたいのは、子どもは一人ひとり違うということです。複数の言語で語彙を学べるとはいえ、認知的または学習上の発達特性がある場合は、ほかのお子さんよりも発達がゆっくりになることがあります。

D.G.くんの実話:バイリンガルのお子さんのことばの発達支援

私は学区でフルタイムで働きながら、個人のクリニックでもパートタイムで勤務しています。どちらの環境でも、多くのバイリンガルの生徒たち(主にアラビア語とスペイン語を話す子どもたち)と関わっています。

私が初期に出会った男の子の1人に、家庭でアラビア語を話す6歳の「D.G.くん」がいました。ご両親は英語も話せましたが、家族で過ごすときはアラビア語だけを話すようにしていました。D.G.くんは英語のみの学校に通っていました。学校の先生方が彼の言っていることを理解できなかったため、ご両親は評価を受けに連れてこられました。ご両親もまた、家庭で彼の英語を理解するのが難しくなってきていると話していました。

初めてD.G.くんに会ったとき、彼が話していることの約10%しか理解できませんでした。これは6歳のお子さんとしては非常に低い割合です。また、彼は何かに3〜5分以上集中することが極めて難しい様子でした。私はアラビア語を話せませんが、評価の一環として両方の言語でどのように発話しているかを確認したいと考えました。ご両親にも部屋に入ってもらい、両方の言語で「犬」のような簡単な単語を言ってもらいました。ご両親によると、以前は明瞭に言えていたアラビア語の単語が不明瞭になっており、英語も不明瞭ではあったものの、アラビア語よりは英語の単語のほうが聞き取りやすい状態でした。

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D.G.くんの実話の解説

D.G.くんはアラビア語よりも英語を聞く時間のほうが1日の中で長かったため、(まだ不明瞭ではあるものの)英語が伸びてアラビア語が低下していたことがわかりました。私はご両親に、アラビア語のコミュニケーションをすべて英語で補い始めるようアドバイスしました。例えば、彼が英語で「milk(牛乳)」と言ったらアラビア語の単語を返し、その逆も同様に行ってもらいました。週2回の言語療法を1年間続けた結果、両方の言語で著しい改善が見られました。療法の場での発話明瞭度は75〜85%にまで向上したのです。

D.G.くんがセラピーで大きく成長できたのは、ご両親が熱心に関わり、自分たちに何ができるかを積極的に学ぼうとしてくれたからでもあります。ご家庭でできるプリントやアドバイスを常に求め、学校の先生からのフィードバックも共有してくれました。こうした姿勢は、みなさんのお子さんの成長にとっても大きな鍵となります。

ある研究から見たバイリンガル家庭

バーバラ・ズラー・ピアソン氏(マイアミ大学)とシルビア・C・フェルナンデス氏(メリーランド大学)は2001年、バイリンガルの乳幼児における語彙獲得のパターンに関する研究を発表しました。20人の子どもたちを生後すぐから2年間にわたって追跡し、ことばがどのように発達していくかを調査したものです。この研究は非常に長期にわたる詳細なものでしたが、いくつかの重要な結論が導き出されました。

  1. 1人の子どもにおける2つの言語の発達には、大きな違いが見られる一方で、いくつかの共通点もあります。これが何を意味するかというと、要するに子どもは一人ひとり異なるということですが、一般的にバイリンガルの子どもたちは語彙の習得ペースがわずかにゆっくりになる傾向があります。
  2. 異なる2つの環境で、異なる2人の人物から2つの言語を学んだ子どものほうが、よりスムーズにことばを習得していました。もしご夫婦がそれぞれ異なる言語を流暢に話せるなら、ぜひ両方の言語にお子さんを触れさせてあげてください。もし学校や保育園にバイリンガルの先生がいるなら、保護者と離れている間はその先生にお子さんへ話しかけてもらうようお願いしてみると良いでしょう。

バイリンガル家庭への大切なポイント

バイリンガルの子どもたちは、単一言語を話す子どもたちと比べてことばの発達が遅れているわけではありません。ただ、ゆっくりとしたペースで学んでいるだけなのです。

遊びを通してことばを教える方法について、ぜひ詳しく読んでみてください!

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